トップページ > HBVジェノタイプ
HBVはその遺伝子配列の違いにより8つの遺伝子型(ジェノタイプA、B、C、D、E、G、F、H)に分けられます。日本でみられるジェノタイプはA、B、C、Dの4種がほとんどで、その他の遺伝型は希です。
特に、日本におけるHBV持続感染者(HBVキャリアー)では、ジェノタイプB(85%)が最も多く、次いでジェノタイプC(12%)とA(2%)が見られます。
HBVジェノタイプは静脈から血液を採血するだけで検査できます。測定は酵素免疫測定法(EIA法)で行われ、日本で多くみられるジェノタイプA、B、C、Dの4種の遺伝子型が鑑別できます。検査結果は2~8日でわかります。
また、B型肝炎の診断が確定している場合、治療法の選択の目的で酵素免疫測定法(EIA法)を用いて検査を実施した場合には、1回に限り健康保険で検査が受けられます。
HBVの遺伝子型をさらに詳しく測定する方法として、PCR-Invader法によるHBVサブジェノタイプ判定検査があります。この検査法では8つのジェノタイプ(A、B、C、D、E、F、G、H)のほかにサブジェノタイプAa(アフリカ型)、Ae(ヨーロッパ型)、Ba(アジア型)、Bj(日本型)が鑑別できます。
PCR-Invader法によるHBVサブジェノタイプ判定検査の結果は7~10日でわかりますが、検査費用に対して健康保険の適応はありません。
HBVジェノタイプの測定はB型慢性肝炎の治療法の選択の目的で行われます。これは、B型慢性肝炎はHBVジェノタイプによりインターフェロンや核酸アナログ製剤に対する治療効果が異なるためです。
すなわち、 8つのジェノタイプ(A、B、C、D、E、F、G、H)のうちジェノタイプAやBはインターフェロンによる治療効果が高いため、第1選択としてインターフェロン治療が望ましいとされています。
一方、ジェノタイプCのB型慢性肝炎に対してはインターフェロンによる治療は効果が低いため核酸アナログ製剤による治療を行います。
このように、HBVジェノタイプの測定はB型慢性肝炎における最適な治療法を選択する目的で重要です。
ジェノタイプAはヨーロッパ、アメリカに多く分布しているHBVで、日本では急性肝炎の原因として特に首都圏で増加しています。
日本人のB型慢性肝炎に多いジェノタイプBやジェノタイプCは急性肝炎を起こしても慢性化することことはありませんが、ジェノタイプAのB型急性肝炎は約10%が慢性化します。
サブジェノタイプAa(アフリカ型)はセロコンバージョンが比較的若年に起こること、Ae(ヨーロッパ型)は急性肝炎が慢性化しやすいいっぽうでインターフェロンの治療効果が高いことが特徴です。
ジェノタイプBは日本人のB型慢性肝炎の85%を占めます。特に、東北地方と沖縄県に多く、セロコンバージョンを起こしやすいため、肝細胞がんを起こすことは比較的少ないと考えられています。
サブジェノタイプBj(日本型)はセロコンバージョンを起こしやすいこと、急性肝炎は慢性化しにくいという特徴があります。
一方、サブジェノタイプBa(アジア型)は若年発症の肝細胞がんが多く、サブジェノタイプBa のB型慢性肝炎はBj(日本型)に比べ予後が不良です。
ジェノタイプCは日本人のB型慢性肝炎の12%を占め、肝硬変症や肝細胞がんを起こしやすいジェノタイプで、インターフェロンの治療効果も低いのが特徴です。ジェノタイプCの急性肝炎は慢性化はまれです。
ジェノタイプDはヨーロッパや北米、ジェノタイプEは西アフリカ、ジェノタイプFは中南米、ジェノタイプGはヨーロッパや北米、ジェノタイプHは中央アメリカに多く見られる遺伝子型で、ジェノタイプIはジェノタイプCの亜型、ジェノタイプJはボルネオ渡航歴のある日本人より分離された遺伝子型です。
ジェノタイプBあるいはCのHBVは急性肝炎を起こしても慢性化することは非常に希で、これらのジェノタイプのB型慢性肝炎は急性肝炎から発症したものではなく、母子感染や集団予防接種が原因と考えられています。
一方、ヨーロッパや北米に多いジェノタイプAは急性肝炎の約10%が慢性化します。近年では、日本でもジェノタイプAのHBVによる急性肝炎が増え、B型急性肝炎からB型慢性肝炎になることがあるので注意が必要です。
集団予防接種等が原因のB型肝炎ウイルス感染者の救済のための特別措置法の給付金等の支給を受けるための資料としてHBVジェノタイプの結果を提出する場合、酵素免疫測定法(EIA法)で検査を行います。検査費用は原則として保険給付の対象外ですが、和解成立後に支払基金から検査費用として8,500円が還付されます(健康保険で検査を行った場合は2,300円が支払基金から支給されます)。
検査結果がジェノタイプBあるいはジェノタイプCであれば問題はありませんが、その結果がジェノタイプAであった場合に限り、PCR-Invader法を用いてHBVサブジェノタイプの検査を行う必要があります。
PCR-Invader法を用いてサブジェノタイプAe(ヨーロッパ型)と判明した場合は成人後の感染と判断され、救済対象とはなりません。これはサブジェノタイプAeの場合は成人になってから感染したB型急性肝炎が慢性化した可能性が高いためです。
検査費用は保険給付の対象外ですが、和解成立後に支払基金から検査費用として15,000円が還付されます。
当院ではB型慢性肝炎の最適な治療法を選択する目的でHBVジェノタイプを測定します。これはB型慢性肝炎に対するインターフェロン療法や核酸アナログ製剤による治療効果がHBVのジェノタイプにより異なるためです。B型肝炎の治療法の選択の目的で検査を実施した場合は健康保険で検査が受けられます。
また、集団予防接種等による特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給を受けるための資料として提出する場合のHBVジェノタイプ検査やHBV分子系統解析検査(PDF)も行っています。
HBVジェノタイプ検査は、直通電話:03-5545-8177まで、お電話いただき、ご予約いただきますようお願いいたします。お問い合わせについても、お気軽にお電話ください。
診察の最終受付は、初診の方は診察終了時間の20分前、再診の方は診察終了時間の10分前とさせていただきます。ご注意の程、宜しくお願いいたします。
当院では15歳以下のお子様の診察は行っておりません。
当院では乳幼児を連れての来院はご遠慮いただいております。
診察券をお持ちの方は、受付の際、窓口にご提示ください。
なお、診察券の紛失等に伴う再発行につきましては、再発行手数料として、100円を徴収させていただいております。
木曜日「午後」の診察は、藤代健太郎先生が担当いたします。
以上、ご理解の程、宜しくお願いいたします。